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Continue.devでOSSのAI補助環境を自前構築

·14 min read·Nexeed Lab
Continue.devVS CodeClaude APIOllama

オープンソース拡張Continue.devでClaude・Ollamaを切替え、OSSのAI補助環境を整える手順と他ツールとの使い分けを解説。

GitHub CopilotやCursorといったAIコーディングツールは便利ですが、利用料金やベンダーロックインが気になる場面もあります。 特にチームで導入する場合、「モデルを自由に選びたい」「ローカルLLMで機密コードを扱いたい」「会社のコーディング規約に合わせて挙動を調整したい」というニーズが出てきます。 そんな要望に応えるのが、オープンソースのVS Code/JetBrains拡張である Continue.dev です。

この記事では、Continue.devの基本概念から、設定ファイルによるモデル切り替え、3つの利用モードの使い分け、スラッシュコマンドとコンテキストプロバイダのカスタマイズ、そしてCursor・Cline・GitHub Copilotとの使い分けまでをまとめます。 読み終えるころには、自社のニーズに合わせたAIコーディング環境を自分の手で組み立てられるはずです。

Continue.devとは何か

Continue.devは、Apache 2.0ライセンスで公開されているオープンソースのAIコーディングアシスタント拡張です。 VS CodeとJetBrains IDEに対応しており、エディタの中にチャットUIとインライン補完を統合できます。 最大の特徴は、利用するLLMを自由に選べる点です。 Anthropic Claude、OpenAI GPT、Google Gemini、Mistral、ローカルで動くOllamaなど、複数のプロバイダを設定ファイル経由で切り替えられます。

ライセンス料が発生する商用ツールに対し、Continue.dev本体は無料で利用できます。 ただしAPIキーを使う場合、各モデルプロバイダの利用料金は別途発生します。 逆にローカルLLMを使えば、APIコストをゼロに抑えながら社内コードをクラウドに送らずに済むため、セキュリティ要件の厳しい現場でも採用しやすい選択肢になります。

設定はconfig.yamlで管理します。 GitやCIにこの設定ファイルをコミットすれば、チーム全員で同じAI挙動を共有できる点も実務向きです。 ロックインを避けつつ、組織独自の運用ルールをAIに学ばせたいときに、これほど扱いやすい土台はそう多くありません。

インストールと初期セットアップ

VS Codeへの導入は数分で終わります。 Marketplaceで「Continue」と検索し、Continue Devチームが公開している拡張をインストールするだけです。 JetBrainsの場合はSettings > Pluginsから同名のプラグインを追加します。

インストール後、サイドバーにContinueのアイコンが追加されます。 初回起動時にウィザードが表示され、利用したいモデルプロバイダを選択できます。 ここで一旦デフォルト設定にしておき、後からconfig.yamlを編集する流れが扱いやすいです。

設定ファイルは、ユーザーのホームディレクトリ配下の ~/.continue/config.yaml に配置されます。 プロジェクト固有のルールを追加したい場合は、リポジトリ直下に .continue/config.yaml を置くと、ワークスペース単位での上書きが可能です。 チームメンバーは前者を個人設定、後者をリポジトリ共有設定として運用すると、衝突なく使い分けられます。

config.yamlで複数モデルを切り替える

config.yamlの基本構造を見てみましょう。 以下は、Anthropic ClaudeとローカルOllamaを切り替え可能な構成のサンプルです。

name: my-team-config
version: 1.0.0
models:
  - name: Claude Sonnet
    provider: anthropic
    model: claude-sonnet-4-6
    apiKey: ${ANTHROPIC_API_KEY}
    roles:
      - chat
      - edit
  - name: Claude Opus
    provider: anthropic
    model: claude-opus-4-7
    apiKey: ${ANTHROPIC_API_KEY}
    roles:
      - chat
      - edit
  - name: Local CodeLlama
    provider: ollama
    model: codellama:13b
    apiBase: http://localhost:11434
    roles:
      - autocomplete
context:
  - provider: code
  - provider: codebase
  - provider: docs
  - provider: file
  - provider: terminal

ポイントは roles の指定です。 チャットには思考力の高いClaude Opusを、編集モードには応答が速いClaude Sonnetを、Tab補完にはローカルのCodeLlamaを割り当てるなど、用途別に最適なモデルを使い分けられます。 APIキーは環境変数から読み込ませると、設定ファイルをGitにコミットしても秘密情報が漏れません。

切り替えはエディタ下部のモデルセレクタから即座に行えます。 重い処理に集中するときはOpus、サクサク書きたいときはSonnet、社内コードを触るときはOllama、といった切り替えが自然なリズムで行えるのは、Continue.devならではの体験です。 モデル横断のスイッチコストが極めて低いため、案件ごとに最適解を探る試行錯誤がしやすくなります。

3つの利用モードを使い分ける

Continue.devには、用途の異なる3つのモードが用意されています。 それぞれの特徴を押さえておくと、無駄なリクエストを減らしながら効率的に開発を進められます。

インラインTab補完。 コードを書いている途中にゴーストテキストで候補が表示され、Tabキーで採用するモードです。 レスポンスの速さが重要なので、軽量モデルやローカルLLMを割り当てるのが定石です。 書き味を損ねたくない人ほど、この補完用モデルを慎重に選ぶ価値があります。

サイドバーチャット。 画面右側に常駐するチャットUIで、自然言語で質問しながら回答を受け取れます。 @で始まるコンテキストプロバイダを使えば、開いているファイルやプロジェクト全体を文脈として渡せます。 設計の壁打ちやライブラリの使い方を聞くときに便利です。

編集モード(Cmd+I / Ctrl+I)。 選択した範囲に対して、自然言語で指示を出してその場で書き換えるモードです。 「この関数にエラーハンドリングを追加して」「型注釈を付けて」など、ピンポイントのリファクタリングに向いています。 変更内容はdiffで提示されるので、納得した部分だけ採用できます。

このように3モードを使い分けると、AIに任せる範囲をコントロールしやすくなります。 逆に言えば、すべてを1モードで済まそうとするとモデル選定やコストが破綻しがちなので、目的別に切り分けるのがコツです。

スラッシュコマンドとコンテキストプロバイダのカスタマイズ

Continue.devの真価は、自社コードベースに合わせた挙動を作り込める点にあります。 チャット入力欄で / を押すとスラッシュコマンドの一覧が表示されますが、ここに独自のコマンドを追加できます。

以下は、コードレビュー用のカスタムスラッシュコマンドと、プロジェクト固有のドキュメントを参照するコンテキストプロバイダの追加例です。

prompts:
  - name: review
    description: チームの規約に沿ってレビュー
    prompt: |
      以下のコードを、私たちのチームの規約に従ってレビューしてください。
      ・関数は40行以内に収める
      ・公開関数にはJSDocコメントを必須とする
      ・any型の使用は避ける
      ・テストが必要な箇所を指摘する
      指摘事項は箇条書きで、修正例も添えてください。
  - name: jsdoc
    description: 選択範囲にJSDocを追加
    prompt: |
      選択された関数にJSDocコメントを追加してください。
      @param と @returns の説明、エッジケースの記述を含めてください。
context:
  - provider: codebase
  - provider: docs
    params:
      docs:
        - name: 社内設計ドキュメント
          startUrl: https://docs.example.com/architecture

@codebase を使えば、プロジェクト全体をベクトル検索した上で関連ファイルを文脈に取り込めます。 @docs を社内ドキュメントに向ければ、公式ライブラリの使い方だけでなく、独自の設計指針まで踏まえた回答を生成させられます。 カスタムプロンプトをGit管理しておけば、チーム全員が同じレビュー基準でAIを使えるようになります。 属人化していたレビュー観点を設定ファイルに落とし込む、という地道な作業が、長期的に効いてきます。

Cursor・Cline・GitHub Copilotとの使い分け

Continue.devの位置づけを正しく理解するには、他のAIコーディングツールとの違いを押さえておくと判断しやすくなります。

Cursorとの違い。 Cursorは、VS Codeをフォークして独自IDEとして配布される製品です。 深いIDE統合と滑らかなUXが魅力ですが、エディタごと乗り換える前提になります。 一方Continue.devは、既存のVS CodeやJetBrainsに後付けする拡張であり、現行の開発環境を壊さずにAI補助だけ追加したい場合に向いています。

Clineとの違い。 Clineは、Plan/Actモードでファイルを自律的に作成・編集していくエージェント寄りのツールです。 タスクを丸ごと任せたいときに強力ですが、その分制御が難しく、コストも嵩みやすい傾向があります。 Continue.devは、人間が運転席に座り、補助としてAIを使うスタイルに寄っており、レビュー前提で安全に進めたい場面に向きます。

GitHub Copilotとの違い。 Copilotは商用のクローズドソース製品で、VS Codeとのインライン補完体験が極めて洗練されています。 反面、モデル選択の自由度は限定的で、社内ローカルLLMとの併用は想定されていません。 Continue.devなら、Claudeをチャットに、Ollamaを補完に、といった構成を自分で組めるため、コストとプライバシーのバランスを自分で握りたいチームに適しています。

要するに、IDEごと変えたいならCursor、AIに丸投げしたいならCline、無難に商用補完が欲しいならCopilot、自由度とOSS性を最大化したいならContinue.devという棲み分けになります。 組織のセキュリティ要件や予算次第で、ベストな組み合わせも変わるはずです。

まとめと次のアクション

Continue.devは、自分たちのチームに合わせてAIコーディング環境を組み立てたいエンジニアにとって、極めて柔軟な選択肢です。 config.yamlで複数モデルを切り替え、3つのモードを使い分け、スラッシュコマンドとコンテキストプロバイダで挙動をチューニングできる点が、商用ツールにはない強みになります。

今日から始めるなら、まずVS CodeにContinue拡張を入れ、Anthropic APIキーを ANTHROPIC_API_KEY 環境変数に設定し、最小構成のconfig.yamlを書いてみるとよいでしょう。 慣れてきたらOllamaを追加してローカル補完を試し、自社のコードレビュー基準をスラッシュコマンド化していくと、AI補助が一気にチームの資産になります。

オープンソースゆえに改修ペースも速く、機能追加も活発です。 公式ドキュメントとGitHubリポジトリを定期的にチェックしながら、自分のワークフローに馴染ませていきましょう。 ベンダーに依存しないAI開発体験は、これからの実装者にとって確かな武器になります。

参考資料

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